カレシとお付き合い② 森君と杏珠
何だ、何だ?!

♢何だ、何だ⁈♢



 森君の事が頭から離れない。

 彼の目が私だけを見て、わざわざ話しかけてくれた!

 もう、当たりさわりないだけ、なんて事も冷静に考えてられなくて、完全に上の空だ。

 ふわふわと翌日学校に行ったら、2学期になったからと席替えがあった。
 学級委員が数字をランダムに書いた座席表を黒板にはって、私達は箱の中の番号を書いた紙を取っていく。

 サエキさんは1番前の端っこ。
えっと、私の番号は⋯⋯ 。

(よかった! )

 サエキさんとすごい離れた席で、しかも後ろの方だ。
 周りも、学級委員の子や平和な女子が近くてホッとした。
 おだやかに過ごせそう。

 やれやれと力をぬいた。
 森君はどこの席だろう、と考えていたら、隣に男子がきたみたいだった。
 私はちょっと男子は苦手なんだよー。
上手くしゃべれないし。変だと思われるっていうか。
 ドキッとして見上げたら、


(森君⋯⋯ )


 森君だった。
 本当に森君が隣に来てしまった。
頭から離れない彼がそこにいる。
もう、普通に出来ない自信があるわ。

 うわ、
 どうしよう。
 隣って!

 見たらおかしいよね、でも、心臓がバクバクしちゃって、汗が出てきて顔に血が上る、ヤバい!

 しかも遠い席からサエキさんが、こっちを見てるんじゃない⁈

 森君は、ぜんぜん気にしないみたいに「ふふっ」と笑った。
 いや、笑ったよね⁈ 今⁈

 それからすっと椅子をひいて座った。
背が高いし足が長いから、なんか、制服のズボン! 森君の足⁈

 私は『何も気付いてませんよー』『普通ですよー』って、極力、音も気配もしませんように、と思いながらただ大人しくするしかなかった。
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