契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 だけど……連れ出すには可哀想な猛暑。

 空調の効いた場所から外に出た途端、私の額にもじっとりとすぐに汗が浮かんできていた。

 バギーには保冷剤を入れたりして対策はして出てきたけれど、短時間の外出じゃないと熱中症の危険がある。目が覚めたらすぐにお茶を飲ませないといけない。

 今日はこの後、成海先生のほうが杏莉を引き取りにマンション前まで来てくれる予定になっているから、佑杏に頼まれた時間に間に合うように帰宅する。

 七央さんの実家を訪れてから、もうすぐ二週間。

 ご両親に挨拶をし、その晩から離れて寝ていたのをやめてから、七央さんとの距離が少し縮まった気がしている。

 特別、何か大きな出来事や変化があったわけではない。

 けれど、一緒に暮らす中で時間を共有すること、他愛のない会話でも交わすことは大切だと日増しに感じている。

 その中で、互いのことを少しずつ知ることができるからだ。

 明日の七央さんの誕生日だって、何気ない会話の中で知り得た情報だった。

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