契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「その通りの意味です。契約結婚という形で、一緒になってもらえないかと」

「契約、結婚、て……意味がわからないです。そもそも、どうして私にそんな話を? 桐生さんならそういったお相手がたくさんいると思いますけど」

「そういった相手?」

「そうです。お付き合いされている方とか、そうじゃなくてもそうなりたい方だって、たくさんいるはずですから」

「今、付き合っているような特定の相手はいません。俺は、宇佐美さんがその相手にふさわしいと思ったから、こうしてお願いしているんです」


 恋愛結婚できれば、それが一番いい。

 しかし、自分にはそれは無理なんだと、とうの昔にもう諦めている。

 学生の頃から、付き合う相手とは長続きしなかった。

 その理由は、ほとんどが相手の心変わり。

 他に好きな男ができたと先に言ってくれるのはまだ親切なほうだが、二股をかけられていたこともあった。


『七央って優しいけど、物足りないんだよね』


 はじめはみんな、決まって優しいところが好きだと言った。

 だけどそれはいつの間にか物足りないに変わり、別のところへと心変わりしていく。

< 75 / 246 >

この作品をシェア

pagetop