破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

☕追う破滅フラグと逃げる幻の料理

 一夜明け、まだ陽が天辺に昇り切る前の時刻。

「シーゾー、広い街だからはぐれないようにね」

「モフー」

「それで、まずは洋品店からかしら?」

 アーシェリアスたちは様々な店舗が並ぶメイン通りを目指して歩いていた。

「そうだねー。でもさ、ちょっと無謀じゃない?」

 ノアは、不服そうな顔で後ろを歩くザックとエヴァンをチラリと振り返る。

「ザックはまだいけると思うけど、エヴァンは厳しいでしょ」

「そこは……まあ、そういう人もいるかなぁ、って思ってもらえれば」

 楽観的なアーシェリアスに、ノアが「え~? いないよー」と眉を顰めてエヴァンをまじまじと見た。

「うん、絶対似合わないと思う。ボクはもう想像だけで確信できる」

 言い切ったノアに、エヴァンは激しく同意する。

「当然だ! 何より俺は騎士だ。女装なんてプライドが許さん!」

 半ば憤慨気味に拳を握ったエヴァン……だったが。

「では、十マンゴーでどうですか」

「いいだろう。完璧な女を演じて見せよう」

 アーシェリアスの交渉に食らいつき、エヴァンのプライドは秒で消え去った。
< 17 / 232 >

この作品をシェア

pagetop