「お前運命の恋を信じる?」って言われた時、俺は思わず「はぁ?」と口にした。



何を言ってるんだこの男は。




冬休み明けだから、頭おかしくなってんのか?





「……運命って感じた事ないから、なんとも言えん」




俺の悪友、水俣 和治(みなまた かずはる)は、「ふーん」といって俺と並んで歩いている。




季節は冬の一月。



あたりはまだ寒い。




そんな中、頑張って学校を頑張って堂々と行っている俺らは勇者かもしれない。


そんな、おセンチメンタルの気分をぶち壊すような出来事が今起こった。




悪友がいきなり「お前、運命の恋を信じる?」なんて、青臭いことを言い始めたのだ。


おいおい、お前どうしちゃったんだよ。



いきなり、少女漫画に出てくる頭の中お花畑ヒロインみたいなこと言いやがって。





「なぁ、カズ」




「なんだ、レン」





「お前頭打った?」




「ちょっ!!バカにしてんな!!」





「いやいや、いきなりそんなこと言ったら、バカにされるも何も引くぞ」





俺は、カズから少し離れ、そう呟いた。






「だいたい、どうしたらこんなバカ寒い中、そんな事を考えつくんだよ?普通会話の始め、「今日はさみぃーなー」とかじゃねぇーの?」



「あのな、話っつーもんは、「何何がこうだよね」「そうそう、これこれがこうゆう感じでー」って言うありきたりな反応から始まるんだよ!!お前は、そこがわかってないから、彼女がーー」




「わかった、わかったから!!」






思わず暑くなる、カズの口を押さえ、口をふさぐ。








しばらく、口を押さえていたら、カズが口元で「苦しい、バカッ、離せ!!」と言ってきた。





あ、やべ。




そう言って俺は素早く手を離し、カズを離す。






ようやく息ができたカズは、「馬鹿野郎、俺を殺す気か!!」と言ってきた。






「ごめん、ごめん」




俺は手を合わせあやまった。





でも、なんでいきなり「運命の恋」なんて話をしようと思ったのか。






「なぁ、俺に話したいことあったんじゃねぇの?」




俺はすかさず、そう答える。





彼が俺に彼女が出来ない理由を聞いてくる前に。






「って、そうそう!!俺さ、とうとう出来たんだよ」






「何が?」





「俺の好きな、運命の人」





俺はまた、「はぁ?」と思わざる得なかった。






なぜなら、カズはこの学校で知られる唯一の遊び人。





何人の女を抱いたか数知れない男なのだ。





一年の時は一週間ぐらいで彼女がコロコロ変わる奴だった。



一部の女に飽きられるほど酷い女癖だったはずなのに。






今更何を言い出す?




いい子アピールか?






「何処で出会ったんだよ?」





そんな本音を隠し、カズに質問をする。






「冬休み中に出会っちゃったんだよ〜」





「冬休み……?」





「ほらっ」と言って、カズは指を立てて俺を指差した。






「俺とお前で初詣に行ったじゃん?んでお前と別れた後、ふと寄り道したくなって、カフェに寄ったんだよ」






「お、お前……一人でカフェに飲みに行ったのか!?」







「ちげぇーって!!俺はただケーキでも買って帰ろうかなーって寄っただけ……って話をそらすな!!んで、そこで注文して待っていたら、いたんだよ。運命の人が」







「……運命の人って、その注文聞いてくれた店員?」







「違う違う。まぁ、まぁ、落ち着いて聞けって。初詣俺たち色々屋台とかで金使ってしまっただろ?そして会計の時、やべ金がねぇって思った時だよ。後ろから「これ使ってください」って声が聞こえて振り向くとなんとそこには、優しそうなお姉さんがーー」






カズは目をキラキラさせながら、まるで夢見る女の子みたいな表情をしている。


どうやら、会計を待っている間後ろにいた女性客に恋をしてしまったらしい。


格好はピンクのロングスカートに白いスカーフが目立つ、優しくふわふわしたお姉さんだと。



今までカズが付き合ってきた女とは違うタイプだ。



カズは、化粧派手めの女で、生足出している女といることが多かった。




主語が「うちー」とか「あたしー」とかそうゆう女が好きだったのに。


あまりにも、思想が違いすぎてビックリだ。





そして、あんまりにも乙女チックな表情で語るため「気持ちわりーなぁー。変な顔すんなよ」と言ってしまった俺。






突っ込みを入れると、カズは「うっせーな」と言って俺の首を軽く締める。






「痛えって!!わかった、わかったから!!離せって」






そう言うと、カズは首を離し俺の肩に肩を回しくっ付け「これは、俺とお前だけの秘密だからな」っと耳打ちをしてきた。




何が、秘密だ。




俺の秘密なんて一言も守ってくれた事ねぇー癖に。



まぁ、約束は破らねぇーけど。


「という事で俺は今年で、セフレ作るの卒業という事で」





俺の肩に手を回したカズは清々しく、笑顔だった。








「……あの、言いにくいんだけどそれガチ?」



俺が聞くと、彼は自信満々に「これはガチだ」と言った。


本当に?



未だに俺は信じられない。



一年の終業式の時には、「男はいいよー。どんなにまずくなっても、逃げられるもん」とありえない事を言っていた事を思い出す。



やっぱり、頭打ってるんじゃないかって思ってしまう。





でも、変わってしまったのか?





さっきの顔を見ると嘘をついている様には見えなかった。




変わってしまったのならしょうがない。






「その……言いにくいんだけど、女性のメアドとか、ライン知ってんの?」

俺は次なる質問をした。


それを聞くと、氷のように固まったカズ。



え、え!?




まさか、お前……!!



そしてしばらくして、「なぁーに。あのカフェに行けばいつでも聞けるさ」と豪快に笑って誤魔化した。




おい、目が笑ってないぞ。




焦ってるよな?






こいつ本当に大丈夫か?






高校二年生、始業式なんだか波乱の予感。





そんな予感がする中、俺たちは、もう高校のそばまできていた。