今夜、妊娠したら結婚します～エリート外科医は懐妊婚を所望する～

第九章 彼とともに生きる未来

事件のあと。検査を終えた私が案内されたのは入院棟五階の病室だった。

部屋に入ると、彼はすでに起き上がり、ベッドに腰掛けていた。

「やぁ杏。ちゃんと検査は終わった？」

いつもと変わらない笑顔で彼――悠生さんは私を迎えてくれる。

彼が座るすぐ横にブルーの検査着が置かれていた。今着替えたばかりのようだ、下はすでにスーツに履き替えていて、上は白いシャツを羽織り、ちょうど前を留めているところだった。

看護師さんから彼が無事だということは聞いていたけれど、実際にその姿を目にするまでは、不安で不安でたまらなかった。

だから、彼の笑顔を見た途端、再び涙が溢れてきて。

「っ、悠生さん……！」

感極まって飛びついてしまった私を、彼は抱き留めてくれる。

さっき、階段から落ちたときは背中から受け止めてくれたけれど、今度は真正面から、力強く私の体を包み込む。

「大丈夫だよ。心配かけてゴメン」

「……よかった……死んじゃった……かと……」

「胸を強く打って、ショックでしばらく息ができなかったんだ。声もうまく出せなくて。紛らわしい態度になってしまってゴメン」