ハージェント家の天使

ヴィオーラ・シネンシス・ブーゲンビリア

 マキウスに連れられてやってきた騎士団の本拠地は、王都の中心部にある大きなお城であった。
 元々は王族が住んでいた城の一部を、騎士団の本拠地として解放したという事もあり、頑丈な白色の石造りの城壁がある建物であった。
 その後ろには、白亜の城よりもやや小さいが黄色の外壁の城があったのだった。
 馬車は茶色のレンガ造りの門を抜けると、群青色の屋根と白色の石造りの建物に近づいて行った。

 建物の前に馬車が止まると、モニカはマキウスの手を借りて、馬車から降りたのだった。
「わぁ、大きいですね!」
「ええ。手前の白亜の城が騎士団の本拠地と詰め所。奥の黄色の外壁の城が王族方の住まいです」
「へぇ〜!」
 モニカ達が今いる場所からは見えないが、白亜の城の後ろにあった黄色の外壁の城が王族の住まいらしい。

 マキウスに連れられて、建物の中を歩いていると、まばらではあるが、普段、マキウスが着ているのと同じ白色の騎士団服を着た者達とすれ違ったのだった。
 すれ違いそうになる度に、マキウスは端に寄って頭を下げた。モニカもそれに習ったのだった。
 そんな2人を騎士達は不思議そうに見ながら、通り過ぎていったのだった。
 3組目とすれ違った時、マキウスが申し訳なさそうにモニカを見つめたのだった。
「すみません、モニカ。私の身分が低いばかりに貴方に苦労をかけて」
「いいえ、私は気にしていないので」
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