「なんだかご機嫌ね。週末、なにかいいことでもあったの?」
 鷹政さんのお屋敷でパーティをした次の週の月曜日、タイプを打っていたら、春子さんが書類を整理していた手を止めておもしろそうに私を見た。
「え? どうしてわかるの?」
 タイプから顔を上げると、彼女はにっこり笑って指摘した。
「顔がニヤけてる」
 そんなに顔に出ているだろうか。
「実は先週の土曜の夜に鷹政さんのお家に行ってきたの」
 思いがけず鷹政さんや彼の家の人たちと過ごせて心がウキウキしている。
 弟の話では、あの夜ビールを飲んで寝てしまった私を鷹政さんが家まで送り届けてくれたそうだ。その時休日にお弁当を作って持ってきてくれと弟に私への伝言を頼んだらしい。
 春子さんにとびきりの笑顔で報告すると、彼女は声を潜めた。
「鷹政さんってあの青山財閥の総帥のこと?」
「そう。とっても素敵な洋館だった」
 頬杖をついて答える私を見て、彼女は悪戯っぽく目を光らせた。