昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
8、覚悟を決める
「今日はどちらに戻りますか? 明日は十時から本邸に『青山鉄鋼』の社長が見える予定ですが」
 横浜港でのタンカーの視察を終え、帰りの車内でスケジュール帳を見ながら伊織が俺に確認する。
「別邸でいい。じいさんがうまく相手をするだろう。日曜くらいゆっくり休みたい」
 車のシートにもたれかかり、ネクタイを少し緩めながらハーッと嘆息する。
 腕時計に目をやると、もう午後七時を回っていた。
 屋敷に着くのは九時くらいか。
 総帥になってからというもの息つく間もないくらい忙しい。
 政治家との会食や財界の会合が増えて、以前のように自由に動けなくなった。
 車が別邸に着くと、玄関の扉が大きく開いて弥生と幸太が慌てた様子で車まで走ってきた。そのあとを右京がついてくる。
 三人が出てくるなんてなにかあったのだろうか。
 運転手が車のドアを開けると、弥生と幸太が凄い剣幕で同時に捲(まく)し立てた。
「さっき松平侯爵家の使いの方が見えたの!」

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