向こうにこちらの姿は見えなかったようだが、その組み合わせに悪い予感がする。
「橋本清十郎はどうして保科伯爵と一緒だったんでしょう?」
 伊織の質問に、少し考えながら答えた。
「凛の見舞いに来たとは思えないな。伊織、ちょっと調べてくれないか?」
 伯爵と橋本清十郎が一緒にいる。
 橋本清十郎は凛に関心を持っていたから、彼女との繋がりを持ちたくて伯爵に近づいたのではないだろうか。
「わかりました」
 伊織は俺と幸太の前からスッと消えると、幸太が俺の背広の袖を掴んで尋ねた。
「さっきの人たち、鷹政さまの知り合いなの?」
「白髪交じりの男性は凛の父親で、若い方は橋本財閥の御曹司だ」
 俺の返答を聞いて彼は心配そうな顔で言った。
「橋本財閥ってうちのライバルじゃないか。ひょっとして凛とその御曹司の縁談の話があるとか? 鷹政さま、ボーッとしてたら凛をそいつに取られるよ」
「お前はなにも心配しなくていい。凛は誰にも渡さない」