「北海道が十社、本州が二百五十社、四国が二十二社、九州が三十六社。まあまあか」
 電力会社の買収の報告書を見てポツリと呟く。
 凛と風呂に入った後、俺は書斎で仕事をしていた。
 今俺が力を入れているのが電力会社の合併と買収。
 第一次大戦の特需や関東大震災からの復興のため、電力需要が高まり、電力会社が何百社も乱立していたが、ここ最近は電力化が進んでさらに電気事業が重要視され、各財閥も電力会社を買収し覇権争いは熾烈を極めている。
 将棋やチェスと同じで打つ手を間違えれば、敵に買収した会社を奪われる。
 財閥のトップにいる俺は打つ手を誤るわけにはいかない。
 俺の肩に重くのしかかる重責。
 今まではずっとひとりで耐えてきたが、凛がそばにいるお陰で肩の力がうまく抜けたような気がする。
 浴場で彼女と触れ合ったせいだろうか?
 とてもリラックスしていて頭も冴(さ)えている。
 弥生の悪戯に感謝すべきなんだろうな。
 凛と結婚するのは今年の秋の予定。