「まあ、今日はいなり弁当ね。素敵」
 私が作ったお弁当を見て姉がニコッと微笑むので、厳しい顔で釘を刺した。
「お姉さま、これは私と森田さんのお弁当であって、お姉さまのお弁当ではないですよ。食べないでくださいね」
「凛、私もおいなり食べたいわ」
 上目遣いに私を見て駄々をこねる姉。
 森田さんの分もお弁当を作り始めてから、一週間が経った。
 姉はここ数日早起きして私が料理するのをジッとではなくはしゃぎながら見ている。
「僕も今おいなり食べたいなあ」
 弟もキッチンにやってきて私に催促する。
 こういうこともあろうかと、多めに作ってはある。でも、ただでは食べさせません。手伝ってもらいますよ。
「もう仕方がないわね。では、ふたりともお皿を並べて。あっ、お姉さまはお箸を並べてくれればいいわ」
 姉に皿を運ばせたら、すぐに割ってしまいそう。
「最近、キッチンが賑やかですね」
 玄関の掃除を終わらせキッチンに戻ってきた琴さんが私たちを見て頬を緩める。
「琴さんは座ってて。琴さんの分もあるから」