その時、蓮実は柵の向こうに立っていた。

 ローファーに紺のプリーツスカート、真っ白なセーラーカラーに紺のライン。

 真紅のリボンを胸に結わえて、屋上の転落防止用の柵の向こうに立っていた。





   ◆ ◆ ◆ ◆

    死にたがり
      と
    生きたがり

   ◆ ◆ ◆ ◆





 工事が途中で中止された廃ビルの屋上を見上げる修二は、その姿を見つけていた。

 首から下げた一眼レフのカメラを構えて、ビル風にスカートをはためかせる蓮実の写真を一枚撮る。

 ファインダー越しに見上げた蓮実の姿に笑いかけた修二は道を逸れ、ガラスのない窓から廃ビルに入っていった。

 打ちっぱなしのコンクリートは砂っぽく、修二の黒いスニーカーが白く汚れる。

 天井から垂れ下がる配線を避けながら、迷うことなく屋上への階段を見つけて上がっていった。

 スキップでもしだしそうなほど軽い足取りで、修二は蓮実のいる屋上への階段を上る。


 修二は微笑んでいた。

 それはもう、嬉しそうに。

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