義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
はじめての生徒会と『設定』
 生徒会の初めての会議が一週間ほどあとにあった。とはいえ、初めての会議なのだ。顔合わせのようなものだった。
 自己紹介をして、少し交流のための話をして……。その程度。
 放課後、部活は免除されてそちらへ行くことになった。
 梓は元々あまり部活には熱心ではなかった。手芸部というおとなしい部活なのだ。元々おさいほうが好きというのはあるけれど、ししゅうをしたり、ちょっとした小物を作ったり、そういう程度。
 だから活動としても、お友達とおしゃべりをしながら縫い物をしたりとか、そういうほのぼのとしたものなのだ。
 なので生徒会の仕事には集中できるどころか、自分の生活の中心にもなってしまうかもしれない、と思っていた。
 面倒であるし、兄である渉がいるとなるとちょっとやりにくいかなぁ、と思ったのは確かである。けれど渉の言ったように、やりがいがあったり成績に好印象だったりメリットもたくさんあるのだ。なったからには頑張るつもりだった。
「一年B組の小鳥遊 梓です。趣味は……手芸です! よろしくお願いします!」
 名前だけ名乗るのもシンプル過ぎるし自己紹介としては不足だし、趣味を付け加えておいた。一年生から順番だったので、かなり早いほうの自己紹介で様子見の部分が強かったけれど。
 ちなみにこの慶隼学園の生徒会は、中等部と高等部で分かれている。中等部はまた別の組織であるので、春に高等部にあがってきた梓が、渉が生徒会に入っていて、しかも副会長なんて重要な立場であることを知らなかったのも、仕方がなくはあるかもしれない。
 高等部生徒会の会長はもちろん高等部三年生。きりりとした印象の、サッカー部でも活躍しているというスポーツマンタイプの男子生徒だ。自己紹介は流石に一番最初におこなってくれた。三年C組の琴吹(ことぶき)先輩、というらしい。
 名前はちゃんと聞いたことがあったし、集会で姿も何回か見ていたので、梓は部屋に入ってこのひとが会長なのだとすぐにわかった。
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