ずっとあなたが好きでした。
side 潤
(やっぱり、あっちのコートの方が良かったかな…)

ショウウィンドウに映る僕の姿は、どうもパッとしないものだった。



この日のために、僕は初めて理髪店ではなく美容院に行った。
少しイメチェンしたい旨を伝えたら、パーマとカラーリングをすすめられたけど、自信がなくて、カットだけに留めてもらった。
両サイドを刈り上げるようにしたカットで、僕としてはかなり変わったと思ったのだけど、誰にも何も言われなかったところを見ると、それほどは変わってないのかもしれない。



服も新調した。
コートとセーターを店員さんに見立ててもらったけれど、普段着ないような鮮やかなブルーのコートはやはりどうにも気恥ずかしく、迷った挙句に着て来なかった。
セーターは、コートを脱がなければ見えないし、グレーを基調にしたものだから、一応着てきた。



待ち合わせは駅の前のスクリーンの前だ。
いつも、待ち合わせ客で賑わっている。



愛美さんは、本当に来てくれるだろうか?
着いたのは、待ち合わせの20分前だった。
ちょっと早かったけど、20分なんてあっという間だ。
スクリーンに映し出されるニュースに目を遣った時、僕を呼ぶ声がした。
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