ずっとあなたが好きでした。
side 翔子
くぅぅ~……



暗い部屋の中で、一人、ぼんやりしてたらいつの間にか時は流れて…



心はこんなに傷ついてるのに、お腹はいつも通りに減ってるみたい。
そりゃそうだ。
今日は、ランチさえ食べてないんだもの。



もしも、私が一人だってことを知られたら嫌だから、映画が始まってしばらくしたら外に出た。
ショッピングでもしようかと、少し街をぶらついたけど、どうにも気分が乗らなくて、小さなカフェでコーヒーを飲んで帰って来た。
今日、両親はおばあちゃんの誕生祝いに行ってて、本当は私も行くべきだったんだけど、あんまり仲が良くないから、友達と約束があるって嘘を吐いて行かなかった。
そろそろ両親も帰って来るだろうから、この酷い顔をなんとかしないと。



(うわぁ……)



洗面所で見た私の顔は、とんでもないものだった。
特に、瞼が腫れ、赤くなった目が目立つ。
とにかく顔を洗って、目薬をさしてみた。



(どうしよう?)



どう見ても、泣いたのが丸わかりな顔だ。
化粧をし直しても、きっと、隠せない。



そうだ!
映画を見たことにしよう。
私が涙もろいことは両親も知ってるし、映画のせいで泣いたといえば問題ない。



そういえば、感動的なアニメが最近上映されてたはずだ。
あれを見たことにしよう。
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