ずっとあなたが好きでした。
side 潤
翔子がやっと泣き止んでくれたのは良かったけど…
まさか、翔子がそんな嘘を吐いてたなんてびっくりした。



なんて、水臭いんだ。
一人で来たのなら、素直にそう言ってくれたら良かったのに。



「そんなこと、気にすることないのに。
僕だって……」



つい言いかけて、僕の言葉はそこで止まってしまった。
僕が言いかけたのは、もちろん愛美さんのこと。
愛美さんとは、まだ恋人同士とは呼べない段階だ。
そのことを言おうとして、僕は迷った。



つまりは、男としてのプライドみたいなもの。



本当のことを話したら、僕が今でも昔と変わらずモテない男だと思われる。



「潤……どうかしたの?」

「え……だ、だから、そんなことは気にする必要無いんだたってば。
ひとりなら、僕達と一緒に見れば良かったのに…」

「そんな……私、そこまで厚かましくないよ。」



愛美さんは、まだ僕の名前さえ知らなかったんだ。
そんな僕たちに遠慮なんてすることなんてない。



僕はなぜ、黙ってるんだろう?
翔子は、本当のことを話してくれたのに。



僕も本当のことを話して、お互い様だねって、二人で笑えば良いのに。



「あの…翔子……」
「ねぇ、潤…」

僕達の声が重なった。



「あ、何?」

「潤から言ってよ。」

「え?あの…だから…さ、寒いんじゃないかなって。
どこかで温かいコーヒーでも飲まないか?」

「うん。そうだね。」
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