ずっとあなたが好きでした。
side 潤
びっくりした。
心臓が胸から飛び出すんじゃないかってくらいに飛び跳ねた。
こんなことくらいで、動揺しすぎだ。
でも、仕方がないじゃないか。
30にもなって恥ずかしいけど、人生二度目の告白なんだから。



しかも、相手は翔子だ。
翔子は身内に近い存在だったから、まさか、恋愛感情を持たれてるなんて思ってもなくて…



でも、正直、とても嬉しかった。
好きだって言われたことが、本当に嬉しかった。



それに、紗夜って子のせいで、チョコがトラウマになったと聞いて、翔子のことがすごく可哀想に思ったし、紗夜って子が憎らしく思えた。



僕は何も知らなかったとはいえ、やっぱり僕にも責任はあるように思えた。
翔子の態度が変わったのに、僕はそのことを無視してしまったんだから。
ちゃんとすぐに話を聞いていれば、こんなに長い間、疎遠になることはなかったと思う。



僕は翔子の手を握った。
本当なら抱きしめたいところだけど、僕に出来たのは手を握ることだけだった。



懐かしい手…
子供の時は、良く手を繋いで歩いてたのに、いつの間にか繋がなくなって…



僕は久しぶりに握ったその手を離したくないと思った。



そして、その時になって、ようやく気付いたんだ。
きっと、僕も翔子のことが好きなんだって。
翔子と同じように、子供の頃からきっと好きだったんだと思う。
ただ、距離が近過ぎて、気付けなかったんだろう。
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