私はいったい、今まで何を見てきたんだろう――


「ちょっと待てって。晴日(はるひ)!!」


 ヨーロッパの大聖堂を連想させるかのような、白亜の独立型チャペル。広々としたガーデンには存在感のある大きなプールがあり、隣接するパーティー会場はリゾート地のような雰囲気を漂わせる。

 都内の一頭地に佇む有名なその式場で、今日結婚式が行われる。そこで、私は思いもよらない事実を、目の当たりにした。


 私――瀬川 晴日(せがわ はるひ)は、花嫁の控え室を飛び出した。高いヒールのあるパンプスで、人目をはばからず、会場を駆け抜けて外へ出る。

 人のいないガーデンスペースの裏手に駆け込むと、それを追うように、叫びながら走ってきた男性に捕まった。


「足速いなぁ.....。」

 白いタキシード姿で息を切らす彼――矢島 大翔(やしま ひろと)

 今日、結婚式をあげる私の姉――(さくら)の結婚相手で、私の.....恋人だった人。


「戻りなよ。桜が待ってるでしょ。」

 私は振り返りもせず、彼に背を向けたまま突き返した。引き止められても戻る気なんてない。こんな式、めちゃくちゃになってしまえばいい。