やわらかな檻
 彼(彼女)への先入観など何もない幼子が向け、慧が返したあの笑みだけは私もまだ見られない。

 残念だが仕方ない、あれはあの幼子だからこそ出来たのだ。

 だからこそ私は探していた。


 慧と同い年か年下くらいで、また年下過ぎるのではなく、純粋で心が美しい子供を。

 慧の家庭環境と宿命を知っても仕方ないか、と傍にいてくれるようなお人好しの子供を。


 そして、何よりも先入観が全くない慧の友達を。
< 64 / 143 >

この作品をシェア

pagetop