やわらかな檻
 私の読みはほぼ完璧だった。

 慧は彼女、小夜に心を開き共に長い年月を過ごすこととなり、まるでそれが当然であるかのように、自然に慧の婚約者となっていた。


 けれども、愛人の座から離れて慧ともあまり会わなくなり、小夜への執着ぶりを噂として聞くようになった今。

 天使を射落として地上へと繋ぎ止め、優しい鎖で雁字搦めにした、今。


 私はこう思うのだ。
 これで良かったのだろうか、と。

【救世主/終】



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