いつでもキミが
プロローグ 恋の終止符
『ごめん繭ちゃん……俺、好きな人がいるんだ』
知ってた。
知ってたから、わざわざフッてもらいにきたんだ。
『俺なんかを、好きになってくれてありがとう』
どこまでも人柄が良く優しい人。
姿を見ればこっちまであったかくなるような……
初恋だった。
でもそれは鞠も同じで。
私は泣きたくなるような心の内を隠しながら苦し紛れの笑顔を作る。
「鞠のこと、よろしく」
"この恋が叶いますように"なんて願ったことは一度もない。
ただ、煩わしかった。
この気持ちが煩わしくて仕方なかった。
はやくなくなればいいと思った。
初めてだから恋の終わらせ方もよくわからなくて、無理にでも終止符を打ちたくて、いっそのことフラれてしまえばいいんだと思った。
それは、双子の姉・鞠と同じ人を好きになってしまったから。
そして2人が両想いだと知っていたから。
こちらこそありがとう。
短い間だったけど、私に恋というものを教えてくれた。
本当に、ありがとう……
こぼれ出そうとする涙を流さないよう歯を食いしばり、まるで何事もなかったかのように広がるいつもの青空を見上げながら、私は足早に校舎の中に入った。