いつでもキミが
story3
君がくれるもの
「はじめちゃん!はじめちゃん!」
「朝から元気すぎねぇ?」
あの日から毎日のように私ははじめちゃんの後をついて回るひっつき虫になった。
バスケ部でははじめちゃんは私のライバルでも戦友でもあるが、日常的にもどうでもいいことだったり、なんでもないことまではじめちゃんに話したくなってしまうのだ。
はじめちゃんと会えない休日は特に用事があるわけでもないのについ電話をかけてしまう。
慣れとはすごいもので、近くにいるとソワソワしたはずのはじめちゃんの存在が、今や一緒にいるととても居心地がいいのだ。声も聞いてると落ち着く。
たぶん、はじめちゃんが私の一番ほしい言葉をくれたからだと思う。
「明日オープンするお店にでっかいトリュフのチョコがあるんだって!こんぐらいの!」
「おぉ。つーか声でかくない?そんなんでよく今まで嘘バレなかったな?」
「好きなものは好きでいいって言ったのはじめちゃんじゃん」
「まあそうだけど……で?買いに行くって話?」
「ん!」
「じゃあ行くときになったら教えて」
「…………」
「何。なんか不服?」
「違う…はじめちゃんが当たり前みたいについてきてくれるのが嬉しくて……」
「そりゃついてくでしょ。約束したし」
「ふへ…へへへ……ありがとう!じゃあまた部活でな!」
「おー……」
はじめちゃんの返事を聞いた私は、無意識にずっと笑顔になっていることにも気づかずに自分の教室のほうに歩き出した。