離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました

Side Tatuki



 昼下がりの病室には強い西日を射し込んでいる。

 部屋の中は十分すぎるほどに明るく、先に入っていった看護師が小走りで窓へと向かいロールカーテンを下ろしていった。


「吉田さん、ご気分どうですか」


 救急搬送後、外科処置を行った患者を経過観察している病室には、様々な状態の患者が入院している。

 重症外傷および多発外傷、重症のショックや臓器不全の患者から、指肢(しし)切断に至るまで。

 他で救命することのできない特殊疾患を診断、応急処置をし、治療しているうちのセンターは、入院患者の回転は速い。

 救命ができれば経過を慎重に観察し、院内の専門病棟に移していく。


「はい、大分いいです。先生、退院は予定より早まりませんかね?」


 原付バイクに乗っていて車と衝突して搬送されてきたこの五十代男性患者は、両手両脚にあばら骨を骨折していた。

 幸い脊髄損傷などはなかったため、体の自由を奪われることはなかった。

 しかし、半袖短パンでバイクに乗っていたため、肌は大根おろし状態で搬送時は出血も多量だった。

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