どうしているの?ねぇ、先輩…
8.約束

<直人side>



「やっぱコーラじゃなくてお茶にすればよかった」



土曜日の午後、俺を呼び出した瞬ちゃんと、いつもの堤防で落ち合った。


休みの日に瞬ちゃんのほうから呼び出しが掛かるのは、すんごい珍しいこと。


だっていつもなら、「暇だー!」つって瞬ちゃんと大ちゃんを呼び出すのは俺のほうだから。


しかも今日は大ちゃん抜き。


なにこれ、なんか一大事の予感がするのは、俺だけ?



「なぁ直人ー」

「なになに、なんか相談?」

「俺さー…」



珍しく瞬ちゃんから頼られてる、この感じ。


俺的には悪くないわけで。


どんな悩みだって俺が解決してやるよ!って、意気込んで隣に座る瞬ちゃんを見た。


堤防の上で隣に座る瞬ちゃんは、遠くの景色を見ながら小さく息を吐いたあと……


俺のちっさい脳みそからは、どう頑張ったって想像もできない衝撃発言をぶちかます。



「俺、大学行くのやめよっかな」



「……」



は?



「言ったら先生、びびんだろーな。いや、つーか親がびびるか」



や、先生よりも親よりも、まず俺がびびってんだけど。


待って、瞬ちゃん進路相談するために俺を呼び出したの?


俺、まだ2年だし、そもそも人の進路の相談乗れるほどの素晴らしいなにか、持ってないけど。


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