双子なのに妹はヒロイン!?姉は家政婦!家族の中は格差社会、どこにでもカースト制度は存在する
第3章
別に何かが大きく変わったということはない。

 店長・・・・朔さんと付き合い始めて、夏休みは色んな所に連れて行ってもらった。

 朔さんはこっちが赤面してしまうような笑顔をいつも見せてくるから心臓がもたないのは事実だけど。

 だからって激しく私の環境が変わったかと言うとそうでもない。

 家族との関係は特に変わりはないし、相変わらず委員長はライバル視してくる。

 ただ委員長は何か吹っ切れた感じで突っかかっては来るものの以前のような不快さはなく、仕方がないなと苦笑して流せるものだ。それに本人は気づいているのかどうか分からないが余裕ができているような感じがする。

 いつも仏頂面で休み時間に勉強をしていることに変わりはないが、以前のようにクラスの誰とも話さないということはなくなった。

 この変化には私を始め、クラスの全員が驚いた。



◇◇◇

 「また出かけるの?」

 今日は夏休みが空けた最初の週末。玄関で靴を履いている私を由利が訝し気に見てくる。

 「夏休みもしょっちゅう出かけてたよね」

 「バイトを結構入れてたからね」

 そう。私は朔さんとデートをすることもあったが、バイトもかなり入っていた。

 シャノワールやカラオケのバイトの他に臨時のバイトも掛け持ちしていたし、以前からしていた在宅ワークにも力を入れた。

 夏休みの宿題は夏休みが始まって最初の一週間で終わらせるので結構時間ができるのだ。

 「そんなに直ぐに宿題を終わらせてどうするんだか」

 そんな私に母がそう呆れて言った。

 母や由利は夏休みの宿題を最後の一日で終わらせてしまうタイプだけど私は違う。

 嫌なことは初めに終わらせておきたいのだ。

 じゃないと、目に入る度に「宿題をしないと」と思ってしまう。そう思うだけでも微細だが人はストレスを感じているのだ。

 だったら初めに終わらせた方が気持ち的に楽だ。

 勿論ラストの一日で母に由利の宿題をするように頼まれたが。

 こういう時、学校が違うから同じ宿題じゃないので自分のを丸写しができないから不便だ。

 私も由利と同じ高校に通うべきだったかな。なんて苦笑しながら由利の宿題をした。因みに当の本人は今で笑いながらテレビを観ていた。

 呑気で良いね。

 大分、話が逸れてしまった。話を「また出かけるの?」と由利に声をかけられた所に戻そう。

 「バイト」

 「本当に?なんか綺麗な男の人と一緒に居るところを見たって噂で聞いたけど」

 私も店長も目立つから直ぐに知り合いの耳に入る。

 っていうか、人の噂をして何が楽しいんだが。放っておいてほしいものだ。

 「騙されてるんじゃないの?」

 私はまだ噂が事実だと言っていないのだが由利は私に恋人ができた前提で話を進めていく(実際に居るけど)。

 「柚利愛、誰とも付き合ったことがないからころっと騙されそうだし」

 「あんただって付き合ったことないでしょ」

 「私は良いの。#普通__・__#だから」

 「それって私が普通じゃないって言いたいの?」

 「えっ!?自分が普通だと思ってたの?」

 本気で驚いている。そこに悪意は込められていない。本当に私が普通じゃないと思っている。だからこそ余計にイラッとくる。

 アルビノは普通じゃない。どうしてそこで選別して来るんだろう。くだらない。

 「普通って何?アルビノは普通じゃないの?普通じゃないから誰とも付き合っちゃいけないの?」

 「誰もそんなこと言ってないじゃん。何ですぐにキレるん?意味わからんし」

 出た。『意味わからんし』。これって由利の口癖だよね。しょっちゅう聞くし。こっちの方が意味わからんし。

 「ちょっと玄関先で騒がないで」

 コンビニに行っていた母が調度戻って来て玄関のドアを開けながらうんざりした声で言った。

 「お母さん。だって柚利愛が急に怒るんだもん」

 「急じゃない。そっちが先に」

 「ああっ!!もう良いでしょ。どっちでも。柚利愛、いい加減にしなさい。どうして直ぐに怒るの?カルシウムが足りてないんじゃないの?これ以上、お母さんを怒らせないで」

 今、どっちでも良いって言ったのに。注意を受けるのは私だけ。何それ?

 「柚利愛、聞いてるの?」

 「・・・・聞いてる」

 「本当に、あんたを見ているとイライラする」

 それはお互い様だろう。

 「自分の娘に対して言う言葉ではありませんね」

 「は?」

 丁寧だけど絶対零度の温度を持った言葉と笑顔を携えて朔さんが母の後ろに立っていた。

 「何よ、急に?あなた誰?」

 「俺は柚利愛さんがバイトしている喫茶シャノワールの店長であり、現在は柚利愛さんとお付き合いをさせて頂いてます。司朔という者です」

 「やっぱりあの噂は本当だったんだ」と由利がぼそりと言った。
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