狂おしいほどに君を愛している

53.ノエルの不安

「ノエル、エドウィン殿下からの呼び出しがあったの」
リーズナのことは気になるけれどそれよりも優先することは他にある。
私はノエルと一緒に学校を出た。何だか学校にまともに通えていない気がする。仕方がないんだろうけど。
「そう。じゃあ、無視をしようか」
満面の笑みで言うノエルには呆れる。
そんなことできるわけがないのに、彼は本気で無視をしようとする。
「だいたい、どうして彼がスカーレットを呼び出すの?」
「どうしてって」
そりゃあ、エリザベート・バートリが呼び出した何かの調査を私が任されているからだと思うけど。
陛下は私とエドウィン殿下二人で事に当たれと命じた。何か手がかりを見つけたエドウィン殿下が私を呼び出すのはおかしなことではない。
「スカーレットは俺の婚約者なんだから用があるのならまず俺に言うべきだよね」
いや、婚約者だからってノエルを通す必要はないけどそこは指摘しない方が良いだろう。
「スカーレットも俺以外の人と話したくないよね?」
「ね?」と聞きながら有無を言わせない圧力を感じる。
ノエルは優しく私を抱きしめる。
「どうしたの?」
「ん?この世界に存在するのが俺とスカーレットだけだったらいいのになぁって思って。そうしたら誰も俺からスカーレットを奪っていかないのに」
ノエルが不安がっている?
エドウィン殿下が、繰り返し前で婚約者だった人たちと私が関りを持ち出しているから?
でも私が彼らを選ぶことはない。
彼らだって他国の王子であるノエルの婚約者の私に何かしようとはしないだろう。
それでもその事実はノエルの不安を取り払ってはくれないのだろう。
私はノエルの背に手を回して抱きしめた。
どうすればノエルの不安を取り除けるのだろう。
「スカーレット、結婚したら邸に閉じ込めて良い?」
「‥…」
「誰にも会わせたくない。誰にも見せたくない。俺だけのスカーレットになって」
「ノエル、私はもうノエルだけのものだよ」
「知ってる。でも不安なんだ」
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