その行為は秘匿
その日の帰り道。
ふらっと立ち寄ったコンビニで飲み物を買って、郁弥と飲んだ。
「そいえば、なんでお前この事件の真相が気になるんだ?別に解決したって警察に言うとかそんなんでもないんだろ?」
「なんだろ、なんていうか―」

「―理由は分からないけど、すごく興味が湧いたの。たくさんの大人たちが解決できなかった事件をまだまだ子どもの私が解いてみせたら、どんなに誇らしいんだろうって。それに、このノートを書いた人が、私に、この事件を早く解決してって言ってきた気がして。」
ノートには、最初のページと最後のページにしか文字は書かれていなかった。それは、途中のページを埋めるくらいの証拠や情報、聞き込みの話などが全く得られなかったから。きっと、このノートを書いたのは学校の生徒だろう。当時は警察などが事情聴取などをしており、子どもが調査する隙なんて無かった。
だから、少し時間が経って、騒動が収まった頃に誰かに解決してもらおうとしていたんだ。
だから、不特定多数が見れる図書室の1番人目につかない棚に、このノートを置いた。
でも一体誰なんだろう。このノートを書き、私達に托した人って…。
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