仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
◇蓮司さんの出張と高鳴る気持ち。
あれから一週間、蓮司さんは同居すぐの頃のように何を考えているかわからなくなった。きっと、私が彼の提案を拒否したからだろうと考えられる。
「いってらっしゃい」
「……あぁ」
蓮司さんは、「あぁ」「うん」と簡単な返事か頷くだけで前日のような会話はなくなってしまった。
「はぁ……買い物、頼んじゃおうかな」
いや、買い物如きで稲葉家の人を頼るのは気がひけるし蓮司さんに『家事をするのは私の仕事です』と断言してしまったんだからしっかりしなきゃ。
私はエプロンを外すといつもの鞄とエコバッグを持っていつも行っているスーパーへ向かった。
外に出ると仲良さそうに歩く親子やカップルが目に入る。私も、もし子どもができたら蓮司さんは私を愛してくれるんだろうか。