溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

どうして私……?


すっかりクラスにもなじんだ5月下旬。


今の季節は、暑くもなく寒くもなく一年で一番過ごしやすくて好き。


4時間目が終わってお昼休み。


同じクラスで中学時代からの親友、水島(みずしま)萌花(もか)ちゃんが、お弁当を抱えながら申し訳なさそうにやってくる。


「乃愛ちゃんごめん」


いきなり謝られて、私は首をかしげた。


「どうしたの?」


「あのね、さっき嶺亜くんからメッセージが来て、今日のお昼一緒に食べれないかって……」


「あ、そうなんだ!」


萌花ちゃんは嶺亜とつき合っていて、こうして時々、お昼ごはんをふたりで食べることがあるんだ。


「いいよいいよ、行ってらっしゃい!」


「うん、ありがとう。行ってくるね」

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