極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



 今、隼理くんの車でライブの打ち合わせがある学校へ向かっている。


 隼理くんの車は。
 セダンで色はシルバー。

 車内は。
 とてもきれいで衛生的。

 隼理くんはタバコを吸わないので。
 灰皿は小銭入れ代わりになっている。

 流れている音楽は。
 少し落ち着いた感じの曲。

 芳香剤は。
 おしゃれな瓶に入っている吊り下げタイプ。
 吊るしている場所はルームミラー。
 香りは、ほんのりと甘い。
 その香りが落ち着いて心地良い。



 私は隼理くんの車に乗ることも好き。

 落ち着いた空間。
 落ち着いた音楽。
 心地良い香り。

 そんな隼理くんの車でドライブをする。
 それはすごく楽しい。


 ただ。

 私が乗っている席は。
 助手席ではない。

 こっそりと隠れるように。
 後部座席に座っている。

 隼理くんは気にしないで助手席に座ればいいと言ってくれるのだけど。

 やっぱり。
 やっぱり私の気持ちは、そういうわけにはいかない。

 私が助手席に座って。
 もし。
 何かの形で。
 誰かに見られてしまったら。

 そう考えると。
 やっぱり助手席に座ることは。
 どうしてもためらってしまう。

 それに比べて、後部座席は。
 窓ガラスも暗くなっているので。
 よほどのことがない限り、見つからないと思う。


 こうすることも。
 高校を卒業するまでの辛抱。

 卒業した後は。
 人目を気にしないで堂々と隼理くんの隣にいることができる。

 だから。
 リスクを抱えて助手席に乗るよりも。
 安全な後部座席に乗った方が。
 これからのためには良い選択だと思った。


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