極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です



 あれは半年ほど前の六月の中旬くらいだっただろうか。


 梅雨入りしているせいか。
 空気全体が水分を含んでいるような。
 ジメジメとしている日が多い。


 そんな気候だけど。
 その日は珍しくスッキリと晴れていた。

 久しぶりに晴れていることは嬉しい。
 けれど。
 天気が良くても悪くても。
 毎日はいつも通りに訪れる。

 そして学校生活もいつも通りに始まる。

 授業を受けて。
 放課後は部活。

 学校がある日は、その繰り返し。
 だけど、そんな日々を楽しく過ごしていた。



 その日も。
 いつものように部活が終了。

 その日は、他の部員たちよりも遅くまで部室に残る。

 理由は、部室の戸締り当番だから。


 私が所属している軽音楽部の部室は。
 防音効果がある部屋ではなく。
 今は使用されていない教室を部室として使用している。

 防音効果がないので不便なように思えるかもしれないけれど。
 教室は、ほどほどの広さがある。

 それに空き教室は一部屋だけではなく三部屋ある。

 なので部員たちが一つの教室で窮屈に練習するということがないので、結構快適に過ごすことができている。



 内容は戸締りのことに戻って。


 戸締り当番の人がすること。

 窓の戸締り確認。
 消灯確認。
 それらの確認が済んだら戸締り。

 それらのことを。
 使用している三部屋全てに行う。

 三部屋全ての戸締りが終わったら。
 職員室に行き。
 鍵を鍵置き場に戻す。

 ここまでが戸締り当番の役目。



 その日も私は窓の戸締りと消灯確認をしていた。

 私一人しかいない部室は。
 とても静かで。
 部員たちといるときと違って。
 異常なくらいの広さを感じた。

 そんな広すぎるくらいの部室に。
 窓から入ってくる夕陽のやさしい光が。
 部室に入り込んで壁にまで到達している。

 部室全体が。
 やさしいオレンジ色に包まれた。

 その光景がものすごく良くて。
 窓を開け、外を見る。

 窓を開けた瞬間。
 夏の香りを含んだ風がふわっと入り込む。

 そして、それは部室全体にやさしく流れ込む。

 部室全体が夏の香りに包まれた。

 夏の風を感じたあと。
 じっくりと外を見た。

 そこに広がるのは。
 オレンジ色に染まる世界。

 青空が広がる景色も素敵だけれど。
 オレンジ色に染まる景色も。
 また違う魅力がある。

 こんなにも素敵な景色を見ていると。
 現実を忘れてしまいそうになる。

 ずっと見ていたい。
 そんな気持ちになる。



「神城」


 ……⁉


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