極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
解けて。より甘く、そして艶っぽく



 五月の中旬。
 春の風は少しだけ初夏の香りを含み始めている。


 今日は土曜日。

 この日も、いつものように隼理くんの部屋にいる。

 今は、ちょうど昼ご飯を食べ終わり、隼理くんと一緒にソファーに座ってテレビを観ている。


 私以外に美輝さんという女性がいるのではという疑惑を抱いてから。
 約一ヶ月が経った。

 私は今だに。
 隼理くんに確認することができていない。

 ……って……。
 そんなこと確認できるわけがない。

 確認して。
 隼理くんが肯定してしまったとしたら。
 美輝さんのことを……。

 そんなことにでもなってしまったら……。
 耐えることなんてできない。

 それに。
 私が美輝さんの存在に気付いているということを隼理くんが知ってしまうと。
 それならと隼理くんから別れ話を切り出されてしまうかもしれない。
 もし、そんなことになってしまったら……。


 ……ダメだ。

 美輝さんのことを考えると。
 いつもこうなってしまう。

 それが真実とは決まっていないのに。
 どうしても悪い方向へ考えてしまう。


 ……でも。
 やっぱり隼理くん本人に確認することができない。

 ……私……。
 臆病なのかな……。



「おっ、やっとか」


 頭の中でいろいろな考えが駆け巡り。
 悩み、落ち込んでいると。

 隼理くんのスマホに着信が。

 隼理くんは『待ってました』というような様子。

 隼理くん、誰からの着信を待っていたのだろう。


「おう、待ってたよ、美輝」


 ……‼


 今の……。

 聞き間違い……?

 ……違う。

 今、確かに……。

 こう聞こえた。

『美輝』って。


 なんで……。

 なんで私がいるときに……。

 そんなにも堂々と。
 美輝さんからの着信を……。

 しかも『待ってた』って……。

 私がそばにいるのに……。
 どうして。
 どうしてそんなことが言えるの……?


「もう来てるのか。
 わかった、すぐ開ける」


 え……⁉

 ちょっ……ちょっと待って‼

『すぐ開ける』って。

 美輝さん、すぐそこまで来ているってこと⁉


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