婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
予定通りの婚約破棄
ローズベリー伯爵家の長女、セシリア・ローズベリー。

輝く金色の髪に、透き通るような紫色の瞳を持つセシリアの美しさは、彼女が5歳になる頃には、王都では有名になっていた。

セシリアは、自身のその美しさを鼻にかけることなく、心根の優しい少女だった。

派手なことを好まず、人よりどこか一歩引いた姿は、大人はもちろん、同年代からも男女を問わず好感を持たれていた。


セシリアは、なかなか他人と打ち解けられない子を見かけると、自ら声をかけて友人となり、他からの心ない言動に傷付く子には手を差し伸べ、言葉少なに寄り添い、心の支えとなった。


そんな心優しいセシリアの話は、いつしかこの国の王太子である、アルフレッド・グリージアの耳にも入るようになった。





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