めざせ!転移門!★恋愛異令嬢は世界を救う?成り上がって↑成り上がって↑調整ゲーム

魔充石の材料とは

「巡礼しゃ、マイケーさん
ここ!ここ!もぐって!ある」

パシャパシャと引き潮の石畳を
ちっちゃいヤオが、
クリンクリン巻き毛を揺らして
足に波を洗われながら
歩く。

可愛いなあー、ヤオ。
こんなチビッ子だったんだよー。

つい懐かしいヤオの姿に
マイケルは ニマニマしてしまう。

そしてね、ヤオは
ニカッて笑って、浅瀬まで
出てきた井戸跡を
ここ、ここって、指さすんだよ。

「よし!じゃあ、ヤオ!
待っていて。その間、ヤオの魔力
で、こう、白くって丸くって、
ツルンてした石を探してくれる?
今、言った石を思い浮かべて、
目を閉じて。どこかなーって。」

マイケルは、ヤオに
親指と人差し指で輪っかを
作ってみせて、
出来たら2つヨロシクねと
ウインクする。

ヤオは、またキョトンとしながら

「わかった。やる。巡礼しゃ、
マイケーさんいってらっしゃい」

と、マイケルが作った指輪っかに
自分の白い手を握って
その拳で大きさを 見はじめた。

その間にマイケルは、
「よっと!はっと!」と
体操をして、金剛杖を構えたら
いきなり大きな井戸跡に
トプンと体を沈めた。


ゥーーーーンと


何度潜っても、
驚く程、海の透明度は高く
いかにも温帯の海は
初め明るい。

井戸の石壁に指をかけながら
下に潜り進むのが
コツだ。

『この井戸には、古代人の
ヘソクリがあったんだよね。』

井戸跡は、女子なら優に
潜れるが
大人の男だと難しく、
影になって底が見えない。

『もとの世界じゃ、
レックダイビングもけっこう
したから全然余裕だよねー。』

最近流行りの、
沈没船に潜るダイビングの
お陰で、
マイケルは 息長く海底に潜る
恐怖心は薄い。

『イタリアの世界一深いプール
は、さすがに怖かったけどね。』

細身でなければ
潜れないからこそ、
井戸跡は
浅瀬にも関わらず
トレジャーハントされて
なかったのを、ヤオは視たのだ。

『あった!お宝ゲットー!!』

井戸底になんらかで入れてあった
装飾品がけっこう沈んで
見える。

それも、最初と 同じ、だ。

取り出す仕掛けは、
年月で腐敗して、
朽ちなかった中身だけが
眠っていた
玉や黄金装飾品を、
マイケルは
器用に金剛杖で引っ掛け
取り上げる。

『思い出すなあー。3日間、
ヤオと2人で 宝さがしして。』

それを、ギルドで換金繰り返して、
ヤオの親に渡した。
あの時は、
とにかく、マイケルは潜った。
ヤオを売られない為に。


でも、やり直しの記憶の今は、、

『ちょっとズルするよ。呑気に
してたら、怒られるからね!』

そう!モチロン大師に!

揶揄しながら
マイケルは、装飾品を
全部浚うと
井戸底を蹴って水面に
浮上して戻る。

次は、ヤオに頼んだ石を
見つけるつもりだ。

これが、『ズル』。

本当はヤオと出会って1年経た
ぐらいに偶然
浅瀬で見つけた石。


「プッハ!!」

井戸跡からマイケルが顔を
出すと、午後の太陽の下で
律儀に待っていた
ヤオと 目が合う。

金剛杖に引っ掛けた
玉や細工装飾品を見て、
ヤオが

「あったー!!あったねー。
巡礼しゃ、マイケーさん!」

すごい、すごいと
貝殻みたいな手を叩いて
喜んで、何故か自分の
クリンクリンの巻き毛から、
『あの石』
2つを出してマイケルを
見せたのだ。

「?!、?!、?!!」

「巡礼しゃ、マイケーさん、
あった。石。2こね?」

あ、あっ、そっか!

「ヤオ、、これ、どこで?」

頭の整理が出来ないマイケルは、

そんなに焦るマイケルが
わからない顔をするヤオに
石を見つけた場所を聞く。

「ラジさん、いらねって。」

そこに捨てて行ったと、
ヤオが示す方を
見ると、
トレジャーハントする一団が
天幕を張っているのが
離れた浅瀬に見える。

「ラジ? ギルドのラジ?」

マイケルは、目を白黒させる
ヤオの肩を
ガシッと持って確認する。

マジか?凄いな?!
何がって?

巻きが、巻きが 凄いって!!
もちろん、
ヤオの髪の毛じゃないって!!

どんだけ時間ないかな?!

「大~い師~い~。」

どーゆーショートカットよ!!

今頃この『走査』を
あのラボで 感じているだろう
翁顔を 頭に、

マイケルは、低く唸ってから
急いで小脇にヤオを抱えた。

天幕の一団に一目散に

「すいませーん!!ラジさん!
ギルドの皆さん!!お話しが
あります!聞いてくださーい!」

駆けていく。

そんなに、巻くなら急いであげる
そうだ!そうなんだ!
ギルドのラジが、
海に出庭って
来てるなら
『あの人物』も居てるはず。

マイケルは走りながら
ヤオから渡された石を
1つ
小脇に抱えるヤオの口に
放おりこむ。

「ヤオ!さっきの石の1コ、口に
入れてなめて!コロコロ
しながら、遠くまで見える魔法を
石にすりこむみたいに、なめて」


これが あの魔充石になるなんて

世の中はわかんないなあ。
しかも、雑すぎるわー。

「巡礼しゃ、マイケーさん!!
口が、なんか、ブルンてして』

口で転がす石の変化に、
小脇のヤオが 身動ぐのが解る。

この世界の魔力は、人に分けたり
付加でき、付加された相手が
取り込む事が出来る。

ヤオはまだ ちっさいから、
魔力を付加する訓練をしてない。

それを仮に今させたのだ。

「そのね、ブルンってなってるの
さっきの石が ヤオの魔法を
取り込んで かわったからだよ」

じゃあ口から取ろうね、と
マイケルはヤオの口に手を受けて
海水で洗う。

見る間に、
天幕は近づき そこに、
仰々しい椅子に座る
ラジを見つけた。

最後にマイケルが見たより、
格段に若くて
獅子の鬣が 雄々しい。

「ギルドの長!ラジ様!わたしは
マイケル。買って欲しいモノが
あります!見てくれませんか!」

今、再び初めて迎合する益荒男。

海を統べる
ギルドの長で、元英雄の男闘呼。
それが ラジだ。

担当率直に交渉。
マイケルは彼の性格を熟知
している。

「マイケル?ふん!初見か。
いい面構えだ。何を持ってきた」

今のわたしは、
成人の巡礼者にみえる 15才の
まだ小わっぱで、
5才の幼女を抱えているんだ。

ラジの燃蒼色した瞳に、
貧しい女子供みる慈愛があるから
周りの守り人達も
咎めたりしないわけ。

「この2つの石を見て下さい!」

マイケルは、
ヤオの巻き毛に入れていた
相変わらず白いツルツルの石と、

ヤオの口の中で
ピンクのゼリー玉みたいに発光
進化した 『魔充石』を、

片方ずつに持って
ラジの眼の前に、両手を出して
見せた。

天幕を護る守り人は、
よく分からない顔している。
その中、只1人、

「お前、此れ、何だ、?
どうした!どういう事だ!」

ラジの燃蒼の眼が青く光る。

だから
つい、マイケルもニヤケた。

ラジの眼は 、
ラジは慧眼の持ち主だったから、
最初の時も
こんな風に眼を光らせて驚てたね

「ラジ様は、もう解ってますよね
2つは元は同じ、水龍の喉仏骨」

ラジの絶対鑑定眼は、
マイケルの手に釘付けのままで。

「貴方が、さっき捨てた屑です」

一言も聞き逃すまいと、
ラジがマイケルを見据え
頷き、

「今日は、浜に出庭って
トレジャーハンターの獲物を
俺自ら視ていた。若い奴は
よく水中で、コレを玉と間違えて
採ってきやがる。こんな骨は
ゴミ同然、エサにもならねぇ」

マイケルが持つ白い石を弾いた。

そう、水中では水龍の骨は
キラリと光るから、
喉仏の骨は 丸くて玉と間違える。

マイケルも、
浅瀬で見つけた時に騙され、
ラジのギルドへ持って行くと
皆に笑われた。

「このままだと 只のゴミです。」

不思議な緣だと思う。

現に最初の喉仏の骨も、ラジが
捨てたのだと、マイケルは
解った。
それを、1年後に自分が拾った。
井戸跡と、拾い場所は
実は 近かったのだ。

ゴミだと言いながら、
どこかマイケルには この
白い石が 愛おしくも 感じる。

「でも、水龍の骨には、魔法力を
保管する事が出来る 性質がある」

それは、偶然だった。
ギルドで白い石、喉仏の骨を
玉と間違えて笑われ、

マイケルとヤオは、
他の獲物を換金して
その日も ヤオの両親に
渡して。

「魔力持ちから、相手の容量に
合わせて魔力を、付加する事は
一時的には、出来るんですよね」

いつも、マイケルとヤオは
その日暮らしで、
雨だと、ハント出来ない。

お腹すいた極限で、石をなめて
唾液をだしてって、
読んだのを まさか異世界で
するとか
思う?!お嬢様だよ、わたし!


「でも、水龍の骨に魔法力を
保管できて、摂取できれば、
この石にはどれだけの価値が?」

空腹で、2人で舐めた石が、
ヤオの口で進化した時の驚き。
それを、マイケルが
美味しそうと、
口に入れて溶かし
遠視が 出来た戦慄。

冷たい雨に打たれても、
興奮で 体から蒸気が昇った。
今も思い出すと。

「これは、は、は、ハハ!!
魔法、いや歴史が変わるぞ!」

ラジの両眼からまるで炎が
昇る様なオーラが走る。

わかる!わかるよ!滾るよね!

ヤオの目が大きくなる!
マイケルでさえ!
体温もいや奥なく上がる!

「言い値で買うぞ!言え幾ら
だ!百万ウーリーか!もっとか」

ラジが天幕の椅子を吹っ飛ばして
マイケルが石を持つ両手首を
握ってきた!

そんなラジの手に グイッと
2つの石を投げ込んで、
マイケルは
海を指差して、ラジに乞う。

「ウーリーは、いらない!
今、潜っている
モケの!
海洋民族 モケ の 潜水魔法を
今日、
わたしに、全部!下さい!」

守の人がザワツいて、
ラジの眼が燃えても、

絶対!!一気に魔充石のある

時間軸にしてやる!!
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