教えて、春日井くん
「初恋がほしい」



春日井くんと付き合いだした翌日。
男の子と付き合うと、学校生活ってなにかしら変わるのかと思っていたけれど、なにも変わらない。


会いにいくこともなければ、会いにくることもない。

きっと私も春日井くんもまだ誰にも言っていないから、誰も私たちが付き合いだしたことを知らないままなのだ。秘密の関係みたいでちょっとドキドキする。


「ということで、春日井くん」

「え、なに、なんか妙なこと考えてない?」


放課後になり、教室で待ち合わせた私は春日井くんに詰め寄る。

どうして警戒されているのか、ちょっと納得いかない。
私のこと好きって言ったのに。


「春日井くん、私のことどう思ってるの?」

「え?……そ、それ昨日伝えたじゃん」

何故か恥じらいながら視線を落とす。
この反応、プレイボーイとは思えない。初々しい感じがする。やだ、そのまま続けて!


「私がしてほしいこと、してくれるんでしょ?」

「それは、」

「言ったよね? 私、しっかり聞いたよ!」

忘れたりしない。これは都合のいい記憶の改竄ではない。
彼は付き合う前に、私のしてほしいことをするって言ってくれたはずだ。


「御上さんさ」

「? なに?」

「……俺の体目当てなの?」

ちらりと春日井くんが私のことを見やる。
私のウブ男子好き心をくすぐることを故意にやっているとしか思えない。


ここは私も誠意をもって答えよう。




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