目を開けると真っ暗だった。

 真夜中に目覚めたときのような感覚だが、少しも目が慣れてこない。

 いつまでも闇のままだ。

 ただ、体に痛みなどはないし、気分も悪くはない。

 エレナは身を起こしてみた。

 少しはまわりの気配くらい分かるかと思ったが、やはり何も見えない。

 目がおかしくなったのだろうかと手で瞼を押さえてみる。

 指の温かさを感じる。

 そういえば、縄で縛られていたはずなのに、手を動かせる。

 エレナは少しずつ記憶をたどっていった。

 たしか地下牢に閉じこめられて火事に巻きこまれたんだった。

 自分はどうなったのだろうか。

 ここはどこなのだろう。

「誰か……いませんか?」

 人を呼びたい気持ちと、また牢屋番のような悪人が来ても困るという不安が重なって、大きな声が出ない。

 闇からは何も返ってこない。

 立ち上がってみる。

 手探りでまわりの様子を知ろうとしても、何も触れる物がない。

 一歩足を出してみる。

 床なのか地面なのかは分からないが、しっかりとした固い土台で、穴や障害物のようなものはないようだ。

 エレナは手を突き出し、摺り足で少しずつ移動してみた。

 何も見えないし、なんの気配もない。

 完全な闇だ。