恐怖ダウンロード
発火
「このプリントを神田に渡しておいてくれ」


先生があたしにそう言ったのは2時間目の授業が終わってからだった。


なんであたしが陸に届けなきゃいけないの?


一瞬そんな気持ちになったが、すぐに笑顔で頷いた。


次は陸の番だから、ちょうどいいかもしれないと考え直したのだ。


「神田は保健室にいるから、よろしく頼むな」


「わかりました」


陸はあのまま保健室で寝ていたようだ。


なんだかんだ言って教室にいることが怖くなったのかもしれない。


「プリントを渡しに行くの?」


夢に聞かれて頷いた。


「夢、付いてきてくれる?」


「もちろんだよ」


あたしたちは目を見かわせて、2人で教室を出たのだった。
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