人権剥奪期間
再開~舞サイド~
朝目が覚めたとき右頬に違和感があった。


触れてみると頬の内側が硬くて、いつもと違うことがわかった。


それから鏡で確認してみると、商品番号が書かれていたんだ。


商品になった人間はいつも通りの生活を送らないといけないと、そのときあたしはすでに知っていた。


人権剥奪期間という法律について少し勉強したことがあったから。


それから夢を見ているような気分で学校に登校して、自分以外に5人も商品になった生徒がいるとわかった。


学校から出られないとわかったとき、ここで死んでしまうのかもしれないと考えた。


あたしみたいな目立たないキャラ、1日目で死んでしまうかも。


そう思っていたけれど、どうにか1日目を生き残ることができた。


夜中の狩の時間では担任の先生に襲われて危なかったけれど、先生が持っていたナイフが小さな果物ナイフだったから、切り傷程度で済んだ。


もともと殺すことを目的としていなかったのかもしれない。


それでも、あんなに優しかった先生に傷つけられたとき、自分の心の中でなにかが崩れ落ちていくのを感じた。


信頼とか、感謝とか、友情とか、尊敬とか。


そういう人とつながる上で大事な感情がすべて薄っぺらいものに感じられた。
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