人権剥奪期間
武器
それから朝日が昇るまで木工教室には誰も来なかった。


時々廊下から悲鳴や足音が聞こえてきて、そのたびに冷や汗が流れていった。


それでも日は昇り、狩の時間を終えるアナウンスが流れた。


あたしは大きく息を吐き出して立ち上がった。


ずっと同じ体勢でうずくまっていたから体が痛くなっている。


軽く背中を伸ばし、太陽の光で照らされた教室内をもう1度確認した。


棚の中にあるハンマーに手を伸ばし、今度こそそれをつかんだ。


警告音が鳴るかと思って一瞬身構える。


しかし、体内から聞こえてくるあの不愉快な音は聞こえてこなかったのだ。


「嘘……武器を使えるってこと?」


興奮気味に呟き、今度はノコギリを手にした。


やはり警告音は鳴らない。


それを確認したとき、一気に視界が開けていく感覚がした。


あたしはハンマーを握り締めて木工教室と出ると保健室へと急いだ。


せわしなくドアを3回ノックする。


「誰だ」


「あたし恵美! 番号は001!」


叫ぶように告げてドアを開けてもらい、転がり込んだ。


みると大志も花子も聡介も無事だ。


ホッとすると同時に握り締めているハンマーをみんなに見せた。


「なにを持ってきたんだ?」


聡介が首をかしげている。
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