スイレン ~水恋~
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『お疲れ~!』

いわゆるゴールデンウィーク突入前の週末。会社帰りにお互いの中間くらいの駅で待ち合わせして、秋生ちゃんと居酒屋女子会。冷えたジョッキを合わせてさっそく乾杯。

「こないだはありがとう秋生ちゃん。お兄も喜んでた、あたしの結婚祝い!」

「夫婦茶碗でも贈るのかと思ったらマッサージチェアって言うし?ラッピングしてくれって梓がドヤ顔したときの店員さんの『は?』ってカオ、思い出したら笑える-」

ケラケラ笑うあたしより二つ上の、藤代(ふじしろ)秋生(ときお)ちゃん。秋に生まれるで“ときお”。綺麗な響きであたしはすっごく好きなんだけど。本人曰く、大抵“あきお”って読まれるし男女も不詳で、本人確認がいちいち死ぬほど鬱陶しいって。

性格は男前の彼女は、通ってた私立高校の先輩だ。ひょんなことで極道の娘同士って感づいちゃった以来の仲良し。しかも同じ櫻秀会系だから余計に気が置けない。

これでもし、どっちかが櫻秀会(うち)と二大勢力って言われてる秋津(あきつ)組系だったりしたら。親は親だから・・・とはそれでも言えなかったと思う、お互いに。

「だって考えに考えたお祝いなのに、ただの段ボールで配送なんて妹的に許せないし~」

「重量考えなさいよー。何でもリボンかけるとか、あんなの漫画だけだからね?」

・・・ごもっともです。
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