望まない結婚なので、3年以内に離婚しましょう。
アルバイトのメンバーにも『絶対に優希くん、朱莉のことが好きだよ』とか、『二人は両想いなんだから早く付き合っちゃいなよ!』と言われていた。
私も心のどこかで期待していた。
頻繁に連絡を取り合っていたし、電話だってする仲だった。
最後にしたデートの帰り際には、手を繋がれた。
驚いたけれど嫌なんで感情は一切湧かず、勇気を出して私も握り返した。
もうすぐアルバイト先の仲間から、恋人に変われるかもしれない。
そう期待していた最中──結婚話は舞い込んできた。
親には好きな人がいると話したけれど、『相手は素敵な人だから、きっとその人より好きになれると思う』と言われ、聞く耳を持たれなかった。
アルバイトのメンバーに結婚のことを話した時、みんながみんな辛そうな、悲しそうな、同情に近い表情を浮かべていた。
そんな中、優希くんだけは──
一瞬驚いたように目を見開いたかと思うと、すぐに笑顔を浮かべて。
『おめでとう』と、嬉しくもない祝福の言葉を口にされた。
けれど、その時の優希くんの笑顔は切なげに見えて。無理して笑顔を浮かべているように見えて。
全部、私の都合の良い解釈だったかもしれないけれど、私はそう思いたかった。