その夜、夫はやはり帰らなかった。

 開き直り、堂々と不貞を繰り返した四年の間でも、夫はぎりぎり父親の体面だけは保とうとした。
 息子も、離れて暮らす娘も、父親が自分たちの母親を裏切って、若い女との不貞におぼれていること、家庭を壊し、妻子を捨ててでも、その女との生活を夢見ていることを、とうに知ってはいるのだけれど、そのことも夫は気づいているのだけれど、それでも、夫は辞めても、父親は辞めたくなかったのか、子供たちに対しては、父親であろうとする所があった。