ある日、いつもの給湯室にお湯を汲みに行った私は、そこで、見上げる程の大きな男性に目をとめる。
 日本人としては大きな背、その背中の持ち主が、私と同じくらいの年代に見えることから、また、その持ち主がとても凛々しい横顔をしていたことから、私はその背中に興味を持つ。
 
 若いころはさぞ、いや、年を重ねてもなおのとても魅力的な男性だった。
 それからは、見かけるその度にいつも注意して見る。どの時もそのひとは、上品で仕立ての良い服をきちっと着こなしていたから、入院患者ではなさそうだった。付き添いなのだろう、妻か、子か、親か、その人への興味は、その人の周囲にも広がる。