私があなたを殺してあげる

 仕事を終えたのが午前二時。私はそれから一度家に帰り、浅尾くんの上着を持ってドラッグストアへと向かった。


 軽蔑されてもいい、昨日のことちゃんと謝らないと。


 私は店の中を覗き、浅尾くんがいるかを確認する。すると浅尾くんと目が合った。


「あっ!」

 思わず私は扉の陰に身を隠す。


 隠れてどうするのよ!


 そしてもう一度、恐る恐る店の中を覗き込むと、浅尾くんの姿はない。

 あれ? いない?


 すると突然、「楠田さん」と、声を掛けられた。


「えっ!?」

 びっくりして振り返ると、裏口から出て来た浅尾くんがいた。

「ああ、浅尾くん、どうして?」

「外に不審者がいたんで、店長に話して撃退しに来ました」

「不審者・・・ 撃退って・・・」

 確かに店の前でウロウロと、今の私は不審者に違いない。


「上着、持ってきてくれたんですか?」

「ああ、うん。ありがとう」

 私は思い出したように上着に視線をやると、浅尾くんに手渡した。


 

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