私があなたを殺してあげる

 私は智明の休憩時間を待ち、外のベンチで座っていた。

「あれ? 来てたんや?」

「うん」

 智明は巾着に入ったお弁当箱を持っていた。あゆむさんが作ってくれたものだろう。


「あゆむさんから?」

「えっ? ああ、って、あゆむのこと知ってるん?」

「うん、さっき少し話した」

「そうか・・・」

 だいたい何を話していたかは察しがついたのだろう、智明はそれ以上聞こうとしなかった。


 智明は遠慮しながらお弁当箱を開き、箸をつける。


 少し遠慮した? それって私への配慮? 

 少し気があるってことかな?


 まるで彼女にやばいものを見られているように、お弁当箱を隠すように体で覆う智明が少し可愛かった。


「あゆむさん、いい人だね?」

「ああ・・・」

「智明、いっぱい苦労したんだね?」

「あいつにも、いっぱい苦労かけた・・・」

「そうだね・・・」

 智明は俯いたまま箸を進める。その姿がまるで泣いているように見えた。


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