私があなたを殺してあげる

 数日後、私は仕事帰りにドラッグストアへ向かっていた。これはもう自然の流れだ。

 あゆむさんにも任されたし、智明の様子見に行かないとね。


 ドラッグストアに行くと、智明がレジのところでボーっと突っ立っていた。智明が仕事中にボーっとするなんて珍しい。


「智明、どうしたの?」

「えっ? ああ、おかえり」

 そう答える智明の顔は少し赤みを帯びていて、なんだかふわふわしている感じだった。


「本当にどうしたの?」

「えっ? なんでもない・・・」

 そう答えながらレジから売り場の方へ行こうとした時、体勢を崩し、陳列棚に倒れ掛かった。


「ちょっと智明!」

 私は智明の元に駆け寄り、赤みを帯びたその顔に手を触れた。


「熱っ。ちょっと、熱があるんとちゃう?」

 智明の顔は触っただけでわかるほど、熱を帯びていた。


「ちょっと河名さん!」

 私は河名さんに事情を説明し、智明を早退させるよう願った。智明はまだやれると言って聞かなかったが、そこは強引に私が連れ帰った。

 運転させるのは危険だ。私は自分の部屋へ智明を連れて帰った。


< 36 / 56 >

この作品をシェア

pagetop