天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい

エピローグ

　さすがに初日は疲れ果て、カンファレンスで少し遅くなる陽貴さんを家で待っているうちにソファで横になりうとうとしていた。


「あっ、起こした？」

「ごめんなさい。寝てた」

「いいって。初日からフル回転だったもんな。師長が季帆のことをメチャクチャ使えるってつぶやいてたから、覚悟したほうがいいぞ」


　彼は起き上がった私の隣に座り、自分の肩に私の頭を誘導する。


「どうしよう。師長には逆らえない」
「俺も」


　顔を見合わせて笑い合ったあと、唇が重なった。
　ただいまのキスだ。


「今日、長崎先生に謝られたの。お菓子までもらってびっくりしちゃった」


　先ほどあった出来事を話すと、彼は眉を上げる。


「ちゃんと謝ったのか」


　やっぱり彼が促してくれたのだ。


「エレベーターホールの会話、聞いてた？」
「うん」


　正直に答えると、彼は眉をひそめる。