俺様幼馴染は素直になれない!
俺様男子になった訳

部屋に帰った後、俺の部屋に一樹(かずき)がいた。

「何してるんだよ。また、勝手に」

俺は一樹にそう言いため息をついて、カバンを放り投げてベッドに横たわった。

「どうしたんだよ!なあ、瑠翔」

一樹は俺に言葉をかけていたが、俺は無視をした。

「ヤバい。結愛を狙ってるやつがいる。どうしよう。結愛、可愛いから。なんで俺強く言っちゃうかな」

俺は両足をバタバタさせながら、一樹に言い放つ。

「はあ。だから、結愛ちゃんに言えばいいでしょ。ってかその俺様をどうにかしないとな」

一樹はため息をついて、携帯を弄り、言ってきた。

「俺だって。結愛に強く言いたくないけど、言っちゃうだよ」

そう、俺は好きで俺様男子になった訳じゃない。

幼い頃から俺様男子だった訳ではない。

子供の時は、彼女には優しかった。

けど、彼女は優しい俺より意地悪な男に魅力的だったらしく、目を輝かせていた。

それは幼稚園の頃に遡る。

あれは人気者男子がクラスメイト達と遊んでいる時のこと。

地味めな女子が怪我をして、足を抱えていた時、人気者男子は冷たい声で言う。

「お前、そんくらいなら立てるだろ。ほら、立って」

人気者男子は地味めな女子に言うと、女子は赤面していた。

その周りにいた女子と結愛も赤くなっていたのだ。

小さい頃はオレオレ男子が人気で、それを見た俺は早速実践しようとしたがすぐにできなく、研究を重ねて、小学校に入る時期に俺様男子に変貌した。



「まあ、瑠翔の一部ではあるから、今更無理か」

一樹は相変わらず携帯をいじって、適当に返事をした。

一樹だけが俺の知られたくない一面を知っている。

俺は表向きはクールでそっけないけど、裏では結愛大好き人間なのだ。

そんな一面をなぜ見られたかって。

ある高校1年生の時だった。

俺は友達がいなくて、一人で自分の机に頬杖をついて外を眺めていた。

男子のクラスメイトが俺の悪口をコソコソと言っている。

永瀬って何考えてんだ。イケメンだからって調子乗んなよな など俺の存在に疎ましく思っているらしい。

だから、嫌なんだよ、友達なんて。
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