未来の種
今さら…優の前に姿を現してどうすればいいの? 気になる人がいると言ってまで別れたのに。
ひょっとしたら、優にはもう素敵な人が出来ているかもしれない。今も優のそばにその人はいるのかもしれない。
……そんなの、絶対見たくない!

「行けないよ……。
3年だよ? 別れて3年経つの。きっともう、優には大切な人がいるよ。私じゃない、他の誰かが…。」

「そうだったとしても、やっぱり会いに行け。お前も、もう前に進むべきだ。」

「昇ちゃん…。」

「…いらなければ棄てていい。
美衣子の好きにしていい。
キャンセルして換金するとしても、俺には返さなくていい。
わかったな?」

そう言って、昇平は電話を切った。

「どうしよう…これ…。」

いつもお節介な程に私の事を考えてくれて、産婦人科医にまでなった昇平。気持ちはすごく嬉しい。
でも…自信がないよ…。
少なからず、優を傷付けて別れたんだもの。自分勝手な私の事なんて、もうイヤになってるかもしれない。

チケットの日付まで2ヶ月を切っている。
春休み、私は渡米の勇気が持てるのだろうか…。






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